ぎむの日記

ほぼ日記です

300円で12分間の無重力体験をした

300円で無重力体験!というポスターを見るたびに気になってうずうずしていたけど、マッサージチェアに座るのがなんとなく恥ずかしくて手を出さないまま早2年。
めちゃくちゃ疲れたある月曜日、ふと思い立ち無重力体験コーナーへと向かった。財布を覗くと100円玉が2枚しか入ってなかったので、1000円札を100円玉10枚に替えた。
早速マッサージチェアに腰掛けた。大きい。玉座についた歴代の人々は恐らく私と同じ感想を抱いてきたのではなかろうか。
300円を投入し、いざ無重力体験。わくわくしながら[無重力]のボタンを押した。
ぐぃ〜〜〜っと背もたれが倒れ、私は仰向けになった。同時に足の裏と背中にあるもみ玉がゴリゴリと私を削りはじめた。背中のコリがほぐれ、足の小指がもげた。時々ふくらはぎや腕が空気でぐいぐいと圧迫され血行が促される。忍び寄る眠気に抗えず目を閉じればそこは宇宙。肩こり、日常、ありとあらゆるものから私は解放され無重力にて自由になった…

そんなひとときも永遠には続かない。12分きっかりに背もたれが動き、私は重力の支配する現実に引き戻された。
財布の中でじゃらじゃらしている9枚の100円玉を全て注ぎ込もうかと考えて、やめた。ずっと無重力に浮かんでいるわけにはいかない。
決意してまず手始めにマッサージチェアコーナーから脱出しようと周りを見渡せば、隣のおしゃれなカフェの中からじろじろとこちらを窺う視線が痛い。でも耐え忍びながら立ち上がれば足が軽くなっているのに気づく。まるで足だけ重力から解放されたかのようだ。
この足があれば私は無敵。意気揚々とカフェの前を通り過ぎ、私は重力圏へと飛び出した。
そうして次の日には疲労物質が溜まった脚を抱え、常に無重力を渇望するようになったのだった。無重力には中毒性があるので、ご利用は計画的に。